【失敗しない開業】物件巡り疲れた人向け!クリニック開業物件選びの裏ノウハウ(テナント開業)

クリニック開業は何をすればいいか分からず、色々頑張っても進んでる気がしなくなり、「もう諦めようかな」「もう手近なところで、検索で上位に出てきた業者とかに丸投げしようかな」と弱気になってしまいますよね。

本当にわかります。私たち夫婦もそうでした。

でも、私たちは”ここが人生の岐路”という気概で踏みとどまって、泥臭く様々な事務・行政手続きを自力で対応してきました。結果として、納得のいく本当に幸せな開業ライフを送っています。

私は、セカンドオピニオン先として皆様の役に立ち、皆様にも同じようにHappyな開業ライフを獲得してほしいと心から思っています。

私はこの記事を通じて、クリニック開業というリスクを負う先生方が、クリニックを自分でコントロールできる様になる世界を夢見ています。一緒に頑張りましょう。

 こんな人に読んでほしい
  • クリニック開業目指してるけど、もう色々と疲れた
  • 物件を色々みたけど、良いところが本当に見つからない
  • 「あ、いい場所だ!」と思ったら、クリニック入れなさそうな物件だった
  • 「もう面倒くさい。業者が紹介してきた無難な物件にするか」と思っている
この記事を読むメリット
  • 一見入れなさそうな物件でもOKかも!ということが分かる
  • どういう風に進めていければ入れるのか、段取りが分かる
目次

物件選びのやり方

テナントでのクリニック開業における物件選びは、一般的な物件選びやり方と、私たちが経験した特殊なやり方(裏ノウハウ)があります。

「とにかく早く開業したい」「場所はどこでもいい」という先生方は、”一般的な物件選びのやり方”でOKかと思います。

後者の、私たちが経験した特殊なやり方(裏ノウハウ)は、「物件には拘りたい」「開業するならココ!と思えるところにしたい」など、色々調べたけどピンとくる物件が無かった人や、最初から開業したい場所や物件の雰囲気が固まっている人向けのお話になります。

一般的な物件選びのおさらい

まず、テナントでのクリニック開業における一般的な物件選びをおさらいしたいと思います。

業者からの紹介

先生方が物件ラインナップをご覧になるときに一番多いのが、この業者からの紹介物件と思います。

各業者の紹介してくる物件とその特徴は以下です。

薬局系業者の紹介物件

薬局敷地内や薬局進出予定のビル内のテナントが多い。薬局が”進出をする(あるいは進出済)”と考えた場所なので、駅近や視認性が良い等、集客し易い場所の物件が多い。注意としては、最初数年はテナント賃借料や他広告宣伝費等について一部薬局側負担という契約も、数年後からは全額クリニック側負担となる場合や途中退去時の薬局側に対する違約金支払いの可能性もあるため、契約条文はしっかり確認すること。

薬卸系、医療機器系の紹介物件

開業者の希望などをヒアリングした上で、適当な不動産仲介業者を紹介してくる。物件の特徴はその不動産仲介業者次第なので、最低でも3社ぐらいは不動産仲介業者を紹介してもらった方が良い。ここで動きの良い仲介業者を選ばないと、後々イライラすること間違いなしです。

不動産デベロッパー系の紹介物件

医療ビル開発等、自社で物件開発を行っている場所を紹介してくることが多い。状況としてはこの不動産デベロッパーもクリニックに儲かってもらわないと困るので、独自の広告宣伝費を大きくかけることがある。これはメリット・デメリットあり、メリットは単純に開業後のスタートダッシュが切りやすいと思われる一方、デメリットは客層を自身でコントロールできなくなる懸念がある。

自分でクリニック開業向け物件をネット検索する(Googleなど)

気骨のある先生方は、もしかしたら業者経由のありきたりな物件ではなく、ご自身で「クリニック開業 物件」等とネット検索される場合もあると思います。

大体この時、日経メディカルやm3といったメジャーどころの医療情報ポータルが引っかかると思います。上記の業者紹介よりかなり幅が広く(下図では東京23区、テナント開業で検索した場合で2,500件超)、逆に言うと選ぶのに相当時間がかかりますが、開業者の要望に沿う物件がいくつか見つかるのではと思います。

正直これで満足いく物件が見つかったら、以下記載の特殊なやり方はしなくていいと思います。

ただ、これは完全に当方の経験則ですが、掲載されている物件はめちゃくちゃ高くてスタイリッシュな物件か、安価(でもない場合も多いが)でダサい雑居ビル物件か、に二極化しているイメージです。

開業時の私たちは、業者からの紹介→自分たちで検索と道をたどり「結局ピンとくる物件が全然ない」ということになり、路頭に迷いました。どうしようか見当もつかない時、業者さんからもらったビル名が書かれた地図がふと目に留まり、「そうか。見つからないなら、こっちから見つけに行けばいいんだ」ということで、次の裏ノウハウの段取りで物件探しと入居確定まで持っていきました。

物件選びの裏ノウハウ

本当に言い難いのですが、聖杯は手ごろなところにはない、ということなのかもしれません。

このパートまで来た先生方は、少なからず開業物件について思い入れがあると思います。それは「お金を稼げる場所がいい」「煌びやかな場所で開業したい」「落ち着いた場所がいい」「交通の便がいいところがいい」等かとおもいます。

そんな気骨のある先生方に一つの道をお示し出来たらと思います。

住宅地図を入手する

先ず、住宅地図を入手してください。”住宅”と記載されていますが、要は地図の各区画の住人名やビル名が記載されている詳細地図になります。ゼンリン住宅地図が一番有名かと思います。

株式会社ゼンリン
ゼンリン住宅地図 配達業務、物件管理、顧客管理など幅広い分野で活躍が出来る高精度な地図を提供します。

書店やゼンリン社のオンラインショップでも買えますが、2~3万円とそこそこ高いです。これを気になる街分買うのは結構無駄ですよね。

ですのでオススメは、以下に登場する”地元の不動産屋さん”から貰いましょう。不動産屋さんは中々入りにくい雰囲気をしているところもありますが、入ってみると意外と優しく迎え入れてくれます。色々探していることを伝えると、大判紙1枚物のミニ版住宅地図をくれることがあります。範囲は狭いですが、十分な情報量なので、最初はこれで問題ないと思います。

辛いけど自分の足で街を隈なく歩く

先ほど入手した住宅地図を片手に、気になる街を隈なく歩くと、もしかしたら掘り出し物の物件に出会えるかもしれません。

私たちは具体的に以下のような手順を踏みました。

①気になる街をとにかく歩く

かなり時間がかかりますし辛いですが、気になる街をとにかく歩くのが一番いいと思います。街の本当の雰囲気もわかりますし、道を一つズラすだけで人通りの雰囲気がガラリと変わることが肌で体感できると思います。

良いなと思う物件でも入口がややこしかったり、横に変な店があったり。

逆に普段通らなさそうな道が意外と閑静でよかったり。

車で来院するお客さまも想定されているなら、近隣の駐車場事情も実感できると思います。

私たちは、ある地域を合計10日ぐらいかけて歩き回りました。本当に疲れましたが、色んなビルを見て「あ、このビルの雰囲気かっこいい」「他店舗がこういうラインナップなら、このビルには入りたくないなぁ」と色々考えが深まったことが一番良かった経験でした。

②気になるビルと地元の不動産屋さんを見つける

歩き回っている内に気になるビルに出会うと思います。そこでテナント募集しているしていないに関わらず、ビル名をメモ(あるいはGoogleマップでピン止め)しておきましょう。これを繰り返していくと、だんだん自分の趣味嗜好がはっきりしてくると思います。

また、重要なのが地元の不動産屋さんも確認することです。(この時、注意点としては宅地建物取引業者免許の番号が2以上の業者だけを選びましょう。簡単に言うと、この数字が大きければ営業歴が長い会社という意味になります。)

何で物件を探しに来たのに不動産屋さんも探すのか、と思われるでしょう。結論としては、地元の物件は地元の不動産屋さんが一番知っているからです。

物件探しは情報戦です。知っていれば勝ち、知らなければ負ける。それだけです。

ですので、地元の不動産屋さんを見かけたら、名前と連絡先は必ずメモしましょう。理想はお店の中に足を踏み入れ、先生方の顔・名前・どんな物件を探しているか、を覚えてもらうことです。そうすれば後は勝手に情報が向こうからやってきます。

あと、これはビジネスの世界だとどうしてもありますが、ぽっと出の不動産屋さんがオーナー様に掛け合ってもけんもほろろなのに、オーナー様と古くから付き合いのある不動産屋さんからの紹介だったら入居を考えてくれる、という場合もあります。結局は人間関係の世界でもありますので、このルールを上手に使っていけばいいと思います。

③気になるビルの名前でネット検索する

街行脚本当にお疲れ様でした。ここまで来たらもう少しです。

気になるビル名で片っ端からネット検索してください。入居募集をオンラインでもかけている場合は、ほぼ間違いなく出てくると思います。

出てこなかった場合は、以下の⑤に進んでください。

④仲介不動産業者に空き物件有無を確認する

ネットで入居募集ページがあれば、そのページに記載されている仲介業者に電話・メールをしましょう。

この仲介業者はオーナー様側の仲介業者とのやり取りをしてくれるので、電話・メールする仲介業者に猛烈にアピールしましょう。単に「入りたいんですけど~」ぐらいだと、他の人に先を越される可能性もあります。

⑤ネット検索で出てこなかった場合は、②で調べた地元の不動産屋さんにヒアリング

ネット検索で出てこなかった場合は、かなり内々に入居者を募集している可能性が高いです。

オーナー様もいろんな方がいて「取り敢えず誰でもいいから入居して」という方ばかりではありません。懇意にしている地元の不動産屋さんに門番となってもらって、入居者を厳選している方もいらっしゃいます。

逆に言うと、こういう場所はかなりいい物件だったり、他入居者の雰囲気が良い可能性もあります。

④または⑤については、詳細を以下に記載します。

見つけた物件の仲介会社か地元の不動産屋さんに連絡する

先生方が「良いな」と思う物件は、多くの場合他の人たちも良いなと思っていると思います。

この場合、物件入居の競合が一般的な会社事務所だったりする可能性が高く、彼らはかなりスピード感が早い(内装などほとんどない為)ので、動きが遅い入居希望者だと思われないように「かなり気に入っている。直ぐにでも入居について相談したい」とアピールした方が良いと思います。

オーナー様は基本的には空室を極力避けたいという感情が強いので、入居候補のラインナップに入れてもらえることが重要です。更には、そのオーナー様への架け橋になる仲介会社や地元の不動産屋さんに「この人はオーナー様に紹介しても大丈夫な人だ」と思ってもらう必要があります。

また、当たり前ですが「天下のお医者様がクリニックを開業してやるんだぞ」という態度は絶対にやめましょう。下から下から懐に入り、「ご面倒だと思いますが、オーナー様にクリニック入居についてご意見確認をしていただけないでしょうか」というイメージでヒアリングしましょう。

大体この後、「オーナー様にクリニック入居していいか確認します」となります。そこでも注意点があるので、以下詳細記載します。

クリニック入居についてオーナー様の意向を確認する

首尾よくオーナー様のご意向確認まで進めたら、大体こういわれます。

「そもそもなんだけど、このビルにクリニックが入っていいのか分からない」

え、わかんないの。。。?  という気持ちはぐっとこらえましょう。大体オーナー様はこんなものだと思います。

さらに悪いことに、実はオーナー様以外にも、仲介会社や地元の不動産屋さんも、本当にクリニックが入居していいか分からないことが多いです。私たちもこの様な状況に行きつき、本当に気持ちが折れそうになった記憶が、今でもよみがえります。

じゃあどうするの?ということなのですが、結局のところ「消防署がクリニック入居OK」と言ってくれたら良いのです。泣くことお役人には勝てないということですね。

というわけで、オーナー様にビルを担当している消防署を聞きましょう。そして、緊張しますが、消防署に電話をするのです。

消防署にクリニック入居可否を確認する

消防署に電話すると、電話交換につながります。消防署の入口で番頭さんのように一人か二人の隊員さんが待機している小部屋のようなところです。

その隊員さんに「●●ビルへの新規クリニック開業なのですが、入居可否について確認したい」と伝えてください。電話交換の方が然るべき部署につないでくれます。

ここまで来ると、あとは「●●ビルの△階にクリニックを開業したいのですが、可能でしょうか」と聞くだけです。

恐らく消防署から「何科の開業か。また入院施設を有するか。」と聞かれると思います。ご自身の開業スタイルを踏まえ正確に回答しましょう。

そうすると、無床診療所であれば防火対象物の用途区分で、6項イ(4)という用途区分になるとおもいます。

クリニックは単なる事務所とかよりもちょっと厳しい消防法上の要件を満たす必要があり、今先生方が入りたいと思っているビルが、この「6項イ(4)で要請される消防法上の設備等の基準」をクリアしているかどうか、ということになります。

消防署はあらゆるビルの設備状況を把握しており、つまり「クリニックを開きたい」という質問に対して、入居可否を直ぐに判断できるという流れになります。

可能であれば物件オーナー様の了承を取ったうえで、物件管理会社と一緒に消防署に行って、面談をすることをお勧めします。そしてその面談内容は必ずメモとして保存しておきましょう。電話の口頭ベースだと、言った言わない問題が後々生じかねません。また、仮にビル設備の話になったとき、先生方には分からないので、同席している管理会社の方に答えてもらうと良いでしょう。

まとめ

物件探しは本当に大海原の冒険のごとく、本当に大変です。一つとして同じビルはなく、そして日々空き状況も移り変わっていきます。

決断が遅いと、他の決断が速い大手などに直ぐに横取りされます。

そして、物件選びは毎月の強烈な支払を生じます。本当に慎重に、良い物件、良いオーナー様に出会うことが肝要です。

ビジネスの場は魑魅魍魎が本当にそこら中にいます。ただ、開業を志す時点で経営者の端くれ、そこにはプロも素人もなく全員プロの世界で、自分の身は自分で守るしかないということを肝に銘じてください。自分を守ることが、家族を守り、ご来院されるお客さまも守ることに必ずつながります。

私は、他の開業コンサル業者さんや開業後の先生方が、様々なしがらみの為にあまり言えないような内容を、医者じゃない第三者の立場からどんどん公開していこうと思っています。(Googleでクリニック開業の実態を調べても、検索上位は、何か耳障りの言い記事や紋切型の深みのない記事ばかりなのが気に入りません。。。)

私のブログ記事で、頑張って開業を目指されている先生が、少しでも良い未来に進まれることを祈っています。

留意事項
  • 当方が記載する内容は、あくまでも個人的な見解であり、その内容が真実であることを宣明するものではありません。
  • 当方が提供する情報等(無形、有形を問わない)について、その正確性・信頼性・実現可能性を保証するものではありません。
  • 従って、当方の見解或いは情報等に基づき、当方以外の第三者が損害等を受けた場合においても、当方はその責任を負いません。
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この記事を書いた人

・30代後半のサラリーマン、銀座在住
・2021年に妻(医師)と、開業コンサルを使わずクリニックを開業(自己資金500万円ぐらいからの資金調達、行政届出など自分たちで対応)
・ホテルステータスは、2023年9月現在でHyatt グローバリスト、Marriott プラチナ、Hilton ダイヤモンド(ヒルトンタイムシェアも保有)
・Moppyでの累積獲得ポイント 40万ポイント超
・年間400~500万円クレカ決済するため、様々なクレカを吟味

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