クリニック開業は何をすればいいか分からず、色々頑張っても進んでる気がしなくなり、「もう諦めようかな」「もう手近なところで、検索で上位に出てきた業者とかに丸投げしようかな」と弱気になってしまいますよね。
本当にわかります。私たち夫婦もそうでした。
でも、私たちは”ここが人生の岐路”という気概で踏みとどまって、泥臭く様々な事務・行政手続きを自力で対応してきました。結果として、納得のいく本当に幸せな開業ライフを送っています。
私は、セカンドオピニオン先として皆様の役に立ち、皆様にも同じようにHappyな開業ライフを獲得してほしいと心から思っています。
今回は、医師の先生方があまり知らないと思われる、保健所さんとの付き合い方について伝授いたします。
- こんな人に読んでほしい
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- クリニック開業目指しているけど、保健所って何者か良く分からない
- 「保健所ってお役所だから、なんか杜撰な塩対応されそう」と思ってる
- だったら「取り敢えず保健所とのやり取りはコンサル・建築士任せにしよう」と思っている
- この記事を読むメリット
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- クリニック開業の関所である保健所さんの実態がわかる
- 実態がわかるので保健所さんへの根拠のない心の壁がなくなる
- 心の壁がなくなるので、行政上の確認や手続きも億劫にならず、自分でやろうかなと思える
- 自分でやれるという自信によって、コンサル等に丸め込まれ難くなる
そもそも保健所って何してるの?→クリニック開業届出の受理
そもそも、医師の皆様は保健所に行かれたことがあるでしょうか。多分、勤務医時代もほとんど接点がない場所かと思います。
今回クリニック開業にあたって保健所の立場は、ざっくり言うとクリニック開業届出の受理・不受理を仕切っています。要は閻魔様ですね。ここを突破できれば晴れてクリニックがオープンとなるという、とてもシンプルな役割です。(細かいですが、医療法人設立だと許認可ですが、クリニック開業だと単に届出となります)
なんで保健所と付き合う必要があるの?→クリニック開業の最終決定者の意見を聞くため
重要なのは、保健所はクリニック開業ができるかどうかの唯一の最終決定者ということを理解することです。別の表現をすると、もしあなたがコンサルや建築士にレイアウト等について何か要望を言って「これじゃクリニック開業できないですよ」と言われても、この発言自体には何の意味もありません。コンサルや建築士に行政と同程度の最終判断能力はないからです。
こうなると、クリニック開業の際に、先生自身が保健所とつながりを持つことの重要性がわかります。つまり、先生自身が保健所に判断を仰ぐ癖をつける(あるいは保健所に確認することを厭わない態度をとる)ことで、コンサルや建築士の言いなりにならない未来が待っているということです。
例えば、クリニック開業にあたってはクリニックレイアウトの構造設備基準があり、これは厳格に順守される必要があるため保健所はしっかり確認します。ただし、逆に言うと構造設備基準以外の部分は保健所の守備範囲外であって、先生のお考えを反映させられる部分です。
実は私たちのクリニックには受付がありません。お客さまをお迎えするにあたり、威圧感がある受付は不要と考えたからです。
受付がない図面を希望することを見積もり段階で様々な建築士に伝えたところ、全員「それは今まで経験がない。多分保健所の許可が下りない」という意見でした。ですが、「本当にそうなのだろうか」と思い、保健所に「クリニックに受付は必須なのか」と聞いたところ「構造設備基準を順守すればよく、この基準に受付にかかる項目はない。お好きにどうぞ」との回答でした。(しかも即答)
プロの専門家を貶す意図はないですが 彼らが今まで何となく一般的にやってきた領域 と 実際にできることの領域 をちゃんと意識・確認せず発言することは、プロの行動ではないと私は考えます。
開業医は経営者です。自分の耳目で確認することが失敗しない開業につながると思います。
保健所って得体が知れなくて怖い→思ってる以上に親切で優しい
「保健所にちゃんと聞いた方が良いのはわかったけど、とてつもない塩対応されそう」
そうお思いですね?わかります。私も保健所に行く前は本当にそう思ってました。初めて足を運んだ時も、あの何とも言えないお役所みたいな建物、古びて黄ばんだリノリウムの廊下、張り紙だらけの壁をみて、なんとも嫌な気分になりました。
でも、実際は本当に親切で優しい方々です。
保健所と言ってもかなり大きな組織で、クリニック開業を担当しているのは(地域によって名称が異なるかもですが)おそらく生活衛生課の医事薬事係かと思います。地域差や個人差があることは否定できませんが、ここでは様々な規模のクリニック開業を担当していることもあってか、非常に丁寧な対応をしてくれます(規模の大きなクリニックさんの開業で塩対応するとかは結構危なかったりしますからね)。
保健所からしても、最後の最後で変なクリニックの図面を持ってこられてゴネゴネされるより、事前に色んなことを確認しに来てもらった方が嬉しいに決まっているのです。彼らは情報を小出しにしたりはしませんし、絶対に守ってほしい事は行政上決まっているので、ちゃんと最初から丁寧に伝えてくれます。
本の中身を表紙で判断しないのと同じで、勇気をもって一度保健所に行ってみましょう!
クリニック開業時の保健所さんとの付き合い方
「保健所の人々が優しいのはわかったけど、どう付き合っていくの」というところに、私が実際にどうコミュニケーションを取っていたかお答えします。
- やり取りはメールで
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保健所さんは結構忙しいです。コロナも落ち着いてきたとは言え、業務は山のようにあります。
開業しようと思っている先生方も中々お時間ないと思うので、基本はメールでやり取りをすると良いです。
保健所さんも、先生方からの質問にメールの方が答え易いと思います。
- 電話は本当に特別な時だけ
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電話は相手の時間配分を無視して強制的に時間を取ってしまうものです。極力しない方が良いでしょう。
ただ、私は何かお礼をしたい時は、メールでも謝意を伝え、電話でもちゃんと言葉で御礼を伝えるようにしていました。
小手先ですが、こうすると保健所さん内での先生方の印象も良くなり、気持ちよく仕事してもらえるでしょう。(だからと言って何か便宜があるわけではありません)
- 往訪時は事前に論点を明確に
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保健所に取り敢えず往訪することは止めましょう。
当たり前ですが、保健所さんの貴重なお時間を頂くことなので、何を相談・議論したいのかを明確にし、持参資料の準備もしっかりしておきましょう。
中途半端だとみんな時間の無駄になり不幸ですからね。
- どんな素朴な疑問でも「聞くと申し訳ないかな」と思わない
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「変な事聞いたら塩対応」の恐怖から、こう思ってしまうかもしれません。でも上述の通り本当に親切丁寧な人たちです。
先生方は開業の素人なので、何でも聞いていいんです。そしてしっかり丁寧に回答してくれます。
寧ろ、素人が思う素朴な疑問だからこそ、保健所さん的には「その発想はなかった」と新鮮だったりすることもあるようです。
- 貧相な資料や図面でも持って行って確認してもらう
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この点は保健所さん本当に素晴らしいと思ったところです。
なんと、最初らへんは、手書きのクリニック図面でも保健所としての意見を言ってくれます。
私たちは、最初、こんなクリニックにしたいというイメージを箇条書きにしたものと手書き図面だけで保健所さんと会話しました。こんな馬鹿げた状況でも丁寧に対応してくれるのです。
- お土産厳禁
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保健所さんは公務員ですので、どれだけ良くされてお返しとしたいと思っても、お土産等は絶対に渡さないようにしましょう。保健所さんが困り果てるだけです。
どうでしょう、上記付き合い方はそこまで複雑じゃない、というか一般的な内容だと思います。そうなんです、何も臆する必要なんて実はなかったんです。
「保健所との内装図面の事前相談は中々難しい」「消防署への事前相談は難しい」と言ってくる建築業者はいませんでしょうか?
私は自分自身で、保健所さんとの図面事前相談、消防署への事前相談も対応しました。全くの素人ですが、問題なくできました。例えば、保健所との事前相談に持っていく図面は、実は手書きでもOKだったりします(最終的には建築士さんが作成した正式図面を持っていく必要があります)。
つまり、「行政手続きは難しい」という人は、実はそこまで難しくないのに、さも難しいことをやっている様にアピールして、頑張っている感を出すことで手数料をかすめ取ろうとしている可能性があります。
多くの人にとってクリニック開業は一大イベント。時間がない中で行政手続きを代わりに対応してくれることは有難いですが「代行費用が高すぎないか」は必ず確認した方がいいです。
まとめ
ビジネスの場は魑魅魍魎が本当にそこら中にいます。ただ、開業を志す時点で経営者の端くれ、そこにはプロも素人もなく全員プロの世界で、自分の身は自分で守るしかないということを肝に銘じてください。自分を守ることが、家族を守り、ご来院されるお客さまも守ることに必ずつながります。
私は、他の開業コンサル業者さんや開業後の先生方が、様々なしがらみの為にあまり言えないような内容を、医者じゃない第三者の立場からどんどん公開していこうと思っています。(Googleでクリニック開業の実態を調べても、検索上位は、何か耳障りの言い記事や紋切型の深みのない記事ばかりなのが気に入りません。。。)
私のブログ記事で、頑張って開業を目指されている先生が、少しでも良い未来に進まれることを祈っています。
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